家族のこころ

統合失調症の夫、母娘の闘い、子育て論。精神世界について得た学びや知識を共有したいです。

精神疾患の人と結婚するリスク

夫が私に結婚を申し込んできた時、統合失調症と診断されてすでに

7年経っていた。

当時リスパダールを1日に3度服用している状態だった。

彼は当時30歳だったけれど、もちろん仕事はしていなかった。

幻聴も、妄想も、あった。

 

それなのに私は交際わずか2か月で、統合失調症のことを何も調べる

こともなく、ただ彼の言葉を成人男性が真剣に女性に結婚を申し込む

言葉だと信じて、彼の心からの気持ちだと、ただそれだけを信じて

あっさり結婚した。

様子の変なところはあったとは思うけれど、結婚したかった34歳の

私は、無意識に目をつぶっていたんだと思う。

 

母には、入籍前に彼が統合失調症という精神疾患を患っているということを

伝えた。

母は、心配はしたけれど、反対はしなかった。

 

夫が当時日本人をすごく恐れていて、日本に帰れないと言っていたので

両親に会うこともなく、スカイプで顔を見せて挨拶しただけで、

入籍した。

 

それでも、両親は反対しなかった。

 

もう34にもなって、もしかしたら娘はお嫁にいけないかもと

思い始めていた両親は、結婚してくれるならそれでいい、と

思っていたようだ。

もう大人なんだから、あなたが選んだ人なら反対する理由は

ありません、と言われた。

 

なんて理解のあるいい親なんだ、とあの時は感謝したけれど

今思えば、本当に私に幸せになってほしい、苦労ばかりする人生を

送ってほしくないという親心があれば、精神病があって無職だと

聞けば、少しくらい反対してくれてもよかったのに、と思う。

 

親もまた、統合失調症という病気について、何も調べることはなかった。

 

ただ、母は父にはそのことを言わなかった。

 

母が言うには、父は精神病に偏見があり、自分が分からないことを

否定する人だから、あなたの旦那さんになる人のことを実際に会う前に

知らせない方がいい、偏見をもって会うことになったら

彼もかわいそうだから、ということだった。

 

なるほどそうかとも思った。

 

確かに父には差別的なところがあり、宇宙人とか超能力とか精神病も

自分の理解を超えていることに対しては存在を否定する。

 

それに、父に娘の旦那になる人が精神疾患を持っているとは言えない

事情があった。

 

私に結婚の話が来る数年前、父の妹さんが乳がんで亡くなった。

50歳くらいの若さだった。

妹さんの旦那さんは、長年うつ病を患っていたそうだ。

だから父たち兄弟は、かわいい妹が旦那のせいで苦労ばかりした、

妹が病気になっても、旦那には思いやる余裕もなく、看病もろくに

できなかった。だからかわいそうに妹はがんを克服できずに、

若くして亡くなった。

そう思っているらしい。

 

がんになる主な原因のひとつにはストレスがあるから、

もしかしたら旦那がうつ病であることによって蓄積された

ストレスも病気の原因になったかもしれない。

旦那が仕事ができず、妹さんは1人仕事も家事も育児もこなさなければ

ならず、過労だったかもしれない。

だけど私は今なら分かる。

 

夫が精神を病んでいて一番苦しいのは、自分がしんどい時に

そのしんどさを分かってもらえないことだ。

 

妻だって人間だから、疲れもするし情緒不安定になる時もある。

心の支えが何よりも必要な時期だってある。

 

だけど精神病の人というのは、自分の心の世界に閉じこもってしまって

いるから、周囲のことは見えないし、自分がしんどいという思いで

頭がいっぱいで全く余裕がないから、そばにいる人間もまた

しんどい思いをしている、ということには気が付かない。

 

人は、自分に余裕がなければ他人を思いやることができない。

 

精神を病んでいなくても、男性は基本的に自分が最優先だから

妻が風邪を引いたり入院したりしても自分のごはんのことを

まっさきに心配して、妻ががっかりする、というのは

よく聞く話。

 

私が小学生だった頃、母が熱が出て土曜の昼間に寝込んでいたところ

午前中パチンコに出かけていて昼に戻ってきた父が

昼ごはんの支度ができていなかったことに腹を立て、

起き上がって謝る母に向かってインスタントラーメンを投げつけた。

テーブルに座っていた私の横をかすめて、居間にいた母に袋めんが

飛んでいった光景を、私は今でも忘れることができない。

 

私が結婚してから母はたびたびこの話をする。

大人になった私は、今はわりと穏やかな父が、若い頃は

なんてひどい男だったんだ、と少し軽蔑もしながらも

自分が付き合ってきた男たちや夫のことを思うと

男とはこういう生き物なのか、と納得したりもした。

 

私の夫も、私が出産で入院した時に

「5日も俺メシどうしたらいいの?」

だった。

 

出産で元気だった私でも心底がっかりしたのに

これが病気で入院した時の言葉だったりしたら、

もう絶望的な気持ちになるね。

 

元来男性にはこういう自分優先なところがあって

精神を病んでいる場合には自分中心がそれこそ病的な

レベルなわけだから、介抱している側が身心ともに元気な

ときはまだいい。

でも疲れ果てたり、心や体が不調になることが誰にでもあるのに

精神病の人には相手の不調を受け止める余裕は全くない。

 

夫が統合失調の場合、子どもが1歳までに離婚してしまう夫婦が

多いみたいだ。

健康な夫婦でも、離婚が一番多い時期は子どもが生まれてから

2歳になるまでの間、ということだから出産後の2年が、いかに

夫婦にとっての試練なのかが分かる。

 

【産後クライシス】子どもが生まれてから急激に夫婦仲が悪くなる6つの理由 - 家族のこころ

 

今回自分がまさに危機に陥って分かってきたのは

出産によって一番変化することは、妻の中での夫の優先順位。

 

夫婦2人だけの時は、まして夫が精神を病んでいたら、妻の最優先は

夫のケアになる。夫になんとか元気になってほしくて、栄養のある

料理を作ってみたり、夫が行きたい場所について行ったり、夫の話を

何時間でも聞いてあげたり。

 

夫が精神の健康を取り戻すことが自分の幸せにもつながると信じ、

夫のケアが最優先の仕事になる。

元来世話をする能力に長けている女性は、そうして夫が精神病である

という辛い現実も受け入れ、ひたむきに前向きに生きていくことが

できる。

 

ところが子どもが生まれると一変する。

子どもが2歳になるまでの間、どうしたってママは子どもから

離れるわけにいかない。

自分の世話なしには1日も生きることのできない存在をもって

母として子どもを最優先にして懸命に育児する。

 

赤ちゃんは待ったなしだから、自然と夫のことは後回しになる。

何時間も夫の話を聞く余裕はなくなるし、今までやっていた

夫の服や荷物の支度、食事の用意さえも、

あなたは大人なんだから自分でやってよ!私忙しいんだから!

となる。

 

自分最優先の夫たちは、こうして自分の順位が下げられたことで

自分の価値を低められたと感じ、すねる。

 

すねている人間は、思いやりをなくす。

 

妻が産後身心ともに人生で一番しんどくなっていることを

思いやることはできず、自分の子どもを一生懸命育てていることに

感謝する気持ちにもなれない。

 

ただ、自分の順位が下げられたことに憤り、いじけて子どもに嫉妬

したりする。

 

アメリカで悲惨な事件があったと最近報道された。

 

夫が1歳半になる我が子を殺した。

その子は生まれてまもなく癌が見つかり、それを

克服して元気になったところだった。

妻は癌と闘う我が子のことでいっぱいいっぱいだった。

その夫が言うには、妻に楽になってほしかったから、

余裕をもってほしかったから、というのが我が子を

殺した動機だった。

 

妻は、

この子のためなら何だってしたのに!

なんて身勝手なの!

私に一生消えない絶望と悲しみを与えた!

 

と法廷で夫を責めた。

 

今の私には、この事件は他人事とは思えなかった。

赤ちゃんの世話で必死になりすぎて、夫のことを

あまりにもないがしろにすると、男というのは

我が子までも殺しかねない。

 

夫は、別居に至る前、何度か私にぼそっと言ったことがある。

 

(娘)はかわいいけど、でもいなくなってくれたら、とか

正直思うことがある。

 

私は背中が寒くなった。

 

夫は、私が自分をみてくれなくなったことに

耐えかねていた。この子がいなければ、また妻は自分を

みてくれるかも・・・

 

夫は、そんな風に思う可能性がある。

 

だから子どもが生まれても夫の優先順位を下げてはいけないのだ。

夫を一番手のかかる最優先にしなければいけない子どもとして、

ケアする。

 

それが家庭円満の秘訣なんだと。

 

知らなかった。子どもを最優先にするものだと信じ込んでいたから。

 

でもじゃあ、産後しんどい私のケアは一体誰がしてくれるの??

 

精神が弱い私の夫には、人生で一番忙しく、余裕のない妻を受け止める余裕は

ないように思う。

 

だから実家に逃げ帰ったけれど、そんなことをしても夫婦仲は

よくなるどころか悪くなるし、夫と一緒にいても余裕のないもの同士

ケンカするだけで、救われない。

 

だから私は本を読んだり、カウンセリングを受けたり、

セミナーに行ったりして、第三者の力を借りて何とか

自分の心に余裕を取り戻そうと必死。

 

夫が、精神病を患っている人は、子どもを持つことは

本当に慎重に考えたほうがいい。

ものすごく大変だよ。

とんでもない修羅場になる可能性がある。

 

子どもの誕生で、夫婦の絆は試される。

 

配偶者が精神病を持っている人は、相手がしんどい時に

懸命に支えても、自分がしんどい時には相手は支えてくれないことを、

覚悟しなければならない。

 

夫は口では言うかもしれない。

 

「いつでも受け入れるよ。」

 

だけど実際には、彼の心に妻の苦しみを受け止めるスペースは、

ない。